決算特別委員会[ 2011年10月6日(木) ]

決算特別委員会[ 2011年10月6日(木) ]

H22年度決算特別委員会で保健福祉局の審査、質問しました。

私は、弱い立場の方や、困っている状況でありながら社会の狭間に置かれている方々のために声を挙げていきたいとの考えから質問項目を考え、調査の上まとめました。
虐待に関しては、一人の母親として避けて通れない問題でもあり、世間の母親のだれもが大なり小なりのストレスを持っている時期があり、他の子どもと比べて一喜一憂したり、育児書に頼りながら孤独な中で子育てをしている親も大勢います。
事件や事故で報道される痛ましい虐待が一刻も早くなくなり、神戸の街では笑顔で子育てが出来る、そんな施策の充実をめざして質問いたしました。
 当局の回答は、指摘した問題点について十分認識をされていることや、まだまだこれからという問題もありましたので、総括質疑や今後の委員会などでも継続して見守り、要望していきたいと思います。

〔児童虐待関連〕

【核心】
 児童虐待の被害を受けながら生活している子どもたちにとって、自分はこの世に存在していいという、自己肯定感を育めるケアが必要。
 一時保護所の役割として、子どもの心のケアと、これからも子育てが継続できるように母親のケアも必要である。
 全市を挙げて、虐待の未然防止、早期発見、発見後のケアに取り組んでいただきたい。

① こども家庭センターについて

 7月18日午後1時半に須磨区内の路上を一人で歩いていた4歳男児を須磨署員が保護し、同じ子どもが4日後の22日午後11時頃に自宅から約1キロ離れた住宅街で保護されました。いずれも両親に引き渡されたが、その後両親は虐待容疑で逮捕されるという事件に発展しています。こども家庭センターでは、この家族が他都市からの転入の際に「虐待の恐れがある見守りが必要な家庭」との連絡を受けていながら、実際には虐待を防止することが出来なかった。もう一歩踏み込めていれば防げた可能性もある。なぜ防げなかったのでしょうか。情報を生かしきれなかった原因はなにか。また、現在、警察との連携・情報交換はどのように行われているのか。

② 職員体制の拡充について

 虐待の相談件数は21年度381件から22年度610件と増大している。これに対して、23年度より虐待対応の主幹が1名増員されていますが、現状の職員体制では1人が常時100件ほどのケースを抱えている状況であり、相談・通報に十分対応できる職員体制ではないと思われる。困難なケースを抱え、子どもを保護するかどうかで悩んでいる職員の精神状態や、当番の時には時間を問わず対応しなければいけない環境も心配されることから、職員体制を拡充すべきであり、そのことがこどもの命を守ることにつながると考えるが見解を。

③ 虐待の連鎖を断ち切るための保護者ケアについて

 今年度、4月~7月の虐待相談の速報値によると、虐待相談178件のうち虐待者が母親である件数は140件と実に79%を占めています。
その原因は様々だと思いますが、育児ストレス、かつて虐待を受けていた所謂「虐待の連鎖」によるものや、精神疾患を持つ方、DVの被害者等、その原因を解きほぐし、虐待を再発させないようにしていくためには、継続的な専門家による心理的なアプローチが必要であると考えるが実態として、どの程度出来ているのでしょうか。

(再質問)

〇虐待の連鎖を断ち切るための施策
 虐待の連鎖を断ち切るためには、保護者カウンセリング事業のようなものが必要と考えるが、カウンセリングは受ける当人が積極的でなければ効果が薄く、実施は難しいものです。そうであれば、保護者カウンセリングへつなぐための施策が必要であると考えるがいかがか。

〇オレンジリボンキャンペーンについて
 神戸市においては、10月は乳がん啓発のピンクリボンキャンペーンが大きく展開されている。これに比べると子どもの虐待防止を啓発するオレンジリボンキャンペーンについては、まだまだ取組みを拡げ、市民への啓発を進める必要があると考えるがいかがか。

〇命の感動体験学習について
 命の感動体験学習は、幼少期に赤ちゃんとふれあいを持つことにより命の大切さを知り、児童虐待の防止にも大変意義のある事業である。22年度は学習者が5,493人、乳幼児2,088人、親1,721人の協力により実施された。全市において、義務教育中にすべての児童・生徒が受けられるよう拡充すべきであると考えるがいかがか。

〔ホームレスの自立支援対策について〕

【核心】
 ホームレスの数が減少しているが、安心せずに対策を講じられたい。その人でなければ出来ない仕事、周囲から感謝される仕事など手応えのある作業や、就労準備訓練などの制度を構築して、自信をもって社会復帰できるような支援策の改善を。最低限度の人間らしい生活ができ、健康の回復と体力をつけられるような生活保障を。

④今年3月に出された、本市の「第2次神戸市人権教育・啓発に関する基本計画」の中で、『人権課題として、ホームレスを社会全体の問題としてとらえ、偏見や差別意識の解消に向けた人権教育・啓発を推進する必要がある』とあります。昨今の経済状況からは、誰もが突然ホームレスになる可能性があり、若い世代でも就職難、生活難で社会生活からこぼれてしまう方が増えている現状があります。
本市においても今年8月25日の一斉調査では、117人のホームレスを確認しています。このホームレスの方の自立や保護を目的とした巡回相談、就労相談などの充実が必要と考えます。今後の取り組みについてお聞かせください。

(再質問)
 JR灘駅近くにある更生センターでは、衛生状態が悪い中で生活してきた方の健康面にも配慮し、環境整備も必要であると考える。最近の夏場の気温上昇とそれに伴う熱中症の増加などをかんがみ、せめて居室に空調設備を備えること、また以前にも陳情があったようにプライバシーを確保する必要が
 あると考えるがその点はどのように改善されているか。

〔発達障害者の就労支援について〕

【核心】
 発達障害があっても社会で自立ができるような就労支援策を進めていく、モデル都市をめざしてほしい。障害の理解をすすめると共に、高校や、大学の現場の声を聴いてください。

⑤発達障害については、早期発見とともにライフステージに応じた支援が必要不可欠である。現在、就学前までは福祉、義務教育期間中は、教育委員会で療育体制がある程度整ってきていると考えるが、義務教育終了後の高等学校、専門学校、大学における支援体制が薄く、これらの機関と情報を密にして、
より一層の連携を図るべきと考えます。
 今後は、発達障害のある方の就労に対する支援が重要になってくると思う。北部地域障害者就労推進センターに相談員が配置されているとのことだが、それ以外にも例えば発達障害について企業の理解を促す啓発活動やジョブコーチをつけることへの補助、受け入れ企業に補助金を出すなど、発達障害の障害特性に応じた就労支援施策を検討・実施していくべきと考えるがいかがか。

〔ひきこもりについて〕

【核心】
 不登校(小・中・高で293,000人)の生徒の多さからも、ひきこもりの長期化で悩んでいる当事者が多くいると推察される。推定で1,636,000人の方がひとりで悩んでいる「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」を「ひきこもり」と呼んでいます。
 「ひきこもり」は、単一の疾患や障害の概念ではなく、様々な要因が背景になって生じます。ひきこもりのいる世帯数は、25万とも32万世帯とも言われています。

⑥長期に渡るひきこもりの現状についてのご認識をお伺いします。昨年度の決算特別委員会において、民主党会派よりひきこもり支援におけるアウトリーチ(訪問支援)の重要性について質疑した際に、ひきこもり地域支援センターで10件程度アウトリーチの準備を進めているとの答弁があったが、22年度の実績としては2件にとどまっている。
福祉・教育・医療・雇用と個別分野での対応は限界があるため「子ども・若者育成支援推進法(H22.4施行)」に基づき「子ども・若者総合相談センター」を設置し、子ども・若者に関する様々な相談事項の解決を図るように枠組みを作り直す必要があるのではないか。
支援を待つ家族も多く、箇所数の増・人員の増等相談体制の強化・居場所の拡充をする必要があると考えるがいかがか。
 また、ひきこもりについては、家族で抱えてしまい中々表に出てこないケースもある。
ひきこもりは誰にでも起こりうることや、相談機関があること等の啓発をより一層行い、埋もれているケースの掘り起こしにつなげていくべきであると考えるがいかがか。

                                               以上